株式上場について
日本には、株式会社が89万社以上ありますが、株式市場で株式を取引できるのは、そのうち約3700社です。株式市場で株式の売買が可能になることを証券取引所に「上場」するといいますが、そのためには厳しい条件をクリアする必要があります。
上場のメリット
株式が上場することで6つのメリットがあります。
1つ目が「社会的信用が格段にあがる」ことです。上場によって財務状況や業績、将来性への公的なお墨付きが得られ、社会や金融機関に対する信用力も上がります。
2つ目が「資金調達が容易になる」ことです。上場は社会からの信用の証となるので、融資も受けやすくなります。
3つ目が「知名度アップ」です。社会に広く知れ渡ることになり、ビジネス面でも追い風となります。能力ある人材や新卒社員の確保も以前より楽になります。
4つ目が「健全な経営体制の実現」です。上場の基準をクリアするためには、社内の経営体制の見直しが不可欠です。その改善プロセスの実行過程で、法令遵守や内部統制、コーポレート・ガバナンスというリスク面を考慮して不正を防ぐ仕組みのある健全な経営体制が築いていきます。
5つ目は「社員のやる気があがる」です。会社が従業員や取締役に対して、予め決めた価格で将来買い取る権利を与える「ストック・オプション」や従業員持ち株制度の導入が働く意欲を高めます。
6つ目が「創業者利益の享受」です。上場後株式の新規公開時に、創業者が保持する自社株式を売り出すことで利益が得られます。
上場のデメリット
メリットがあればデメリットもありますので、6つのデメリットをご紹介致します。
1つ目が「上場の準備に時間と費用がかかる」ことです。上場にかかる費用は上場審査手数料の他、引取手数料、監査報酬、印刷会社への支払い等があります。企業の規模や上場による資金調達の額が大きい程、コストも増大します。
2つ目が「上場継続のための費用」です。上場後も年間上場料や監査報酬、株主名簿管理料などの支払いが続き、更に内部管理体制強化・株主総会運営費が発生します。
3つ目が「情報開示の義務」です。自社の業績や経営に関わる情報を有価証券報告書や事業報告書等によって、投資家や株主に適時開示する必要があります。企業にとって不都合な事実も公にしなければならなくなります。
4つ目が「経営について長期的な視野が持ちにくくなる」ことです。持続的な業績・企業価値アップへの圧力がかかり、直近の業績に囚われやすくなります。
5つ目が「幅広い株主の出現」です。会社の経営に対し、多くの株主から意見を聞き、それに応えていくようになります。上場後はオーナーの思いを経営に反映させることが難しくなる可能性があります。
6つ目が「買収リスクが増す」ことです。自社株式が市場で自由に売買されるため、会社にとって不利な株主に購入されることもあります。